「宇宙戦艦ヤマト」この先の50年に向けて新たな旅立ち!庵野秀明ら作品愛を語り合う(イベントレポート / 動画あり)_野球 スポーツ ナビ
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庵野秀明が友永和秀に「責任取ってくださいね!ト動」
イベントでは「宇宙戦艦ヤマト」のTVシリーズ第1話となる「SOS地球!! 甦れ宇宙戦艦ヤマト」を、50年前の放送日時の同日同時刻に上映。戦艦ら作また8mmフィルム版「宇宙戦艦ヤマト」第1部「さらば地球よ」、ヤマトこけてうイベントレポーり第2部「神よ、の先に向新た秀明ガミラスのために泣け」、の年第3部「愛に生き 愛に死す」が、劇場では初公開された。
第1話について、出渕は「構成が素晴らしい。主役が沈没船としてラストに出てくるという、この象徴的な絵がシビれます」とコメント。アニメーターの友永和秀の作画によって“「ヤマト」の沼にハメられた”と語る庵野は「友永さんのせいですからね! 責任取ってくださいね!野球 スポーツ ナビ」と主張し、出渕も「同意する」と笑った。
また庵野は作中の「波動砲にシビれた」と言い、「波動砲の電源を切れ、というところから実際にカチッと電源を切るというところまで、2分10秒もかかっている」と言及。出渕は「長いよね」と相槌を打ち、氷川も笑いをこぼす。庵野は「その2分10秒が素晴らしい。大砲を一発打つのに2分10秒もかけている“テレビマンガ”なんて、当時はなかった。ツッコミどころもいっぱいあるんだけど、そこも含めての愛情」と思いを語る。
それを受けて氷川は「自分は『ヤマト』は“元祖ツッコミアニメ”と言っているんです。それまでは“テレビマンガ”にツッコむ人なんていなかった。リアリティレベルが高いからツッコみたくなる」と意見。出渕も「好きなくせに、ツッコんでくるSFの(知識がある)先輩っているわけですよ。それに対してトンチを駆使して『これはこういうことなんですよ、たぶん』っていうふうに言い返していたのが、当時の自分」と振り返り、庵野は「それの集大成が『2199』なんだよね」と補足すると「まさにその通り」と出渕は頷いた。
「何かしなきゃいけない」という気持ちにさせられるアニメ
放送当時、高校在学中から「宇宙戦艦ヤマト」のファンクラブであるヤマト・アソシエイションに参加していた氷川。制作スタジオ内に訪問した際には、現場の貴重な資料を集めては自身のもとで保管していた。氷川は「(制作)現場でお預かりしたこの資料をなんとか後世に残さねば」という思いを抱いていたと言い、「このアニメって『何かしなきゃいけない』っていう気持ちにさせられるアニメなんです」と発言。出渕は当時の氷川の行動力に「当時はそんなこと考えもしなかった」と感心する様子を見せながらも、氷川が口にした「何かしなければいけない」という衝動に共感し、「だからこそ50年経っても残していかなきゃいけないと思うし、人に伝えたくなる。布教活動をしたくなる作品」と「ヤマト」への熱い思いを言葉にした。
また自身が「ヤマト」の深みにハマった理由について、氷川は制作スタジオに遊びに行くようになった際、アニメーションディレクターの石黒昇から話を聞いたことを振り返る。「石黒さんは、エフェクトアニメーションに憧れてアニメーターになったという話を聞いて。エフェクトアニメーションが何かというと、ディズニーには昔からそういう部署があって、簡単に言えば特撮っぽいもの……水とか火とか、キャラクターじゃないものを描くセクションがある。『そこに凝るといいんだ』と話していて、自分の中でいろいろ腑に落ちたんです。アニメの中に特撮があるからこの作品を好きになったんだ」と納得し、「『ヤマト』では庵野さんが言ったような(長時間を使って)段取りを全部描くということと、エフェクトアニメーションがストーリー以上に主張してくる。でも主張してるからストーリーに厚みが出て、信じられるものになっている」と説明した。
自身のコレクションとしてではなく、後世のために残しておく
またトーク中には、第1話と第21話のノンテロップバージョンのオープニングを上映。ノンテロップバージョンのテープを「本当に探していた」と言う庵野は「倉庫で見つけたときは感無量でした。『ああっ! あるじゃんここに! それも3つ!』」と当時の興奮を伝える。加えて、第21話のオープニングのノンテロップ版にメインタイトルのロゴと、氷川が保存していた未使用カットを追加したバージョン、さらに第2話以降のエンディングのノンテロップバージョンも公開された。
上映後、「保存していたものがこうやってお役に立てて幸いです」と話す氷川に対し、出渕は「ちゃんと取っていてくれていたあなたがいてこそ」だと敬意を表す。氷川は「制作現場が解散するとなったときに、これ(未使用カットなど)が消滅したら人類の損失だろうというくらいの思いを持っていた」と明かし、当時は原画なども捨てられてしまっていたことを3人で語り合う。氷川が「作画スタジオに放送直後に訪問したときに、『そこに縛ってあるのはなんですか?』とよく見たら、原画の束なんですよね(笑)。『これ、どうするんですか?』と聞いたら『ちり紙交換に出す」と言うから『持っていっていいですか?』と集めていた」と当時の状況を説明すると、庵野も「それのおかげで今こうやって残っている」と称える。
続けて氷川は「自身のコレクションというつもりはなく、後世の人のために残しておいた。庵野さんにはアニメ特撮アーカイブ機構を作っていただいたので、今はそこに全部収めている。あとはそれを国家的なものにするという使命が残っている」と話し、「50周年って、ただ50年過ぎたというわけではない。“decade”とか“century”という単位で考えたときに、そういう(後世のために残すという)使命があると思っている。まだまだヤマトの航海は続く。『ヤマト』はそういうふうに、人に『行動しなきゃいけない』という使命感を与える作品だと思っている」と改めて『ヤマト』の存在の大きさを語った。
庵野、出渕に「先にやりやがって!」
そんな氷川が「出渕さんが『2199』を作ってくれたおかげで、新しい航海も続いたわけです」と話を振ると、出渕は「巷でよく誤解されるんですけど、庵野くんが(制作を)降りたから俺がやったわけではないんですよ。昔から庵野くんとは『老後の楽しみにヤマトをできたらいいね』と話してたんです」と明かす。すると庵野は「いずれね、と。そうしたら先にやりやがって」と返し、会場の笑いを誘う。出渕は「ちゃんと報告したじゃない!」と反論しながら「庵野くんに『ライダーも先にやるし、ヤマトも先にやってずるい!』と言われたんですよ(笑)。じゃあ、今はどうなんだよ!」と返すと、庵野は苦笑とともに「いやいやあの、素晴らしい先輩です」と頭を下げた。
改めて出渕が「『2199』をやれてよかったです」と振り返り、庵野が「素晴らしかったです」と伝え会場が温かな空気と拍手に包まれると、氷川は「『2199』に感謝するとともに、『ヤマト』があったから(アニメ界の)状況が変わりましたよね」と話す。庵野も「この作品がなかったら日本のアニメーションは違ってたと思う」と同意し、出渕も「僕らも生き方が違っていたよね」と思い返すと、庵野は「たぶんアニメをやってない」と語り、3人は「ヤマト」が自身たち、そしてその後のアニメーション業界に与えた影響を噛み締めあった。
ほかにもやらなきゃいけないことはある、だけど「ヤマト」はやらなきゃ
その後、トーク内では「『宇宙戦艦ヤマト』放送50周年記念セレクション上映」の実施や、2025年に発売される出版物、来年3月に「宇宙戦艦ヤマト展」が開催されることなどについて告知。また庵野の口からは「宇宙戦艦ヤマト」をベースとした新作アニメ映像を製作する権利が、自身が代表取締役社長を務めるカラーに付与されたことも発表される。「平たく言うと、僕が新作を作ることができるようになったということです」と付け加えると、会場からは大きな拍手が送られた。
庵野は「ここに来てくれる人に一番に伝えたかったので、この日に発表させてほしいとお願いした」と言い、「ここにいる人も一緒にやってますから」とステージに視線を移すと、出渕が「よろしくお願いします、一緒にやります」と挨拶。出渕は「さっき言ったように、一緒にヤマトをやろうというのは『2199』を作る前から約束していたので。まさかもう1回『ヤマト』をやるとは思わなかったけど(笑)」と笑顔を見せる。「次が5回目の『ヤマト』」と数えていくと、庵野は「いいね。人生、5回も『ヤマト』があって。僕なんかようやく1回目だよ?」とすねた顔。すかさず出渕が「わからないじゃないですか、今後どんどん数を増やしていくかもしれない。何年間くらい作るんですか?」と追求すると、庵野は「そのへんは契約書にあるので、まだナイショ」と口をつぐんだ。そう言いながらも庵野は「残りの人生をけっこうこれに費やすことになるんじゃないかな」と予想すると、出渕は「あなたはほかにもやらなきゃいけないことがあるんじゃないですか?」と問いかける。しかし庵野は「ほかにもあるんだけど、これはやらなきゃ」と固い決意を示した。
フォトセッションを挟んだ後、庵野からは「50周年は今日がピークやファイナルではなく、これが始まり。これからいろいろ盛り上げていきたいと思います。皆さんよろしくお願いします」と改めてファンへ応援を求めた。イベントでは、再びオープニングを上映しながら、会場全体でオープニング曲を大合唱。締めの挨拶で、出渕は「50周年を祝えて、これからがリスタートのよう。1回俺は(『ヤマト』を)やったんですけど(笑)、もう1回リスタートします。(庵野に向かって)何か困ったことがあれば聞いてください」と庵野と言葉を交わす。そして氷川は「『宇宙戦艦ヤマト』は日本のアニメの歴史に奇跡をもたらした大事な作品。ノスタルジーに振り返るのではなく、この先の50年に向けて、今日が旅立ちの日だと思います。皆さんとその節目をご一緒できたことを非常にうれしく思います。ありがとうございました」と感謝を伝えた。
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